前回の記事で、株を買う時の基本的な流れや注意事項をご説明させていただきました。株を買う時の基本的な3つの決め事と、注文する際の「成行注文」と「指値注文」の違いは理解できたのではないかなと思います。
さて、では実際に株式を購入しようと思った時に、各市場の代表的な企業を集めた指数を買う「インデックス投資」とそれぞれの企業を買う「個別株」とがあります。
この「インデックス投資」と「個別株投資」の違いについて今回は見ていきたいと思います。
インデックス投資とは
投資において「インデックス」とは、株式市場の代表的な指数の事を指します。インデックス投資とは、こういった代表的な指数と同じ動きをするように設計された投資信託やETF(上場投資信託)に投資する事によって、株式市場全体の平均的なリターンを確保する手法(株式市場の動きと連動した投資結果を目指す手法)の事を言います。
投資をしたことのない人でも、ニュースなどで「日経平均株価」や「ニューヨークダウ」とかの言葉を聞いたことがあると思います。それぞれ日本の株式市場や米国の株式市場の代表的な指数となります。
日本や米国、中国などの代表的な指数(インデックス)を確認してみたいと思います。
ニュースなどで、「日経平均株価が大幅に上昇しました」とか「ニューヨークダウは暴落しました」などと言っているのは、それぞれの市場全体でどのような動きになっていたのかを伝えているという事です。指数(インデックス)は、それぞれの市場を代表する株価の動きを表していると言えます。
インデックス投資とは、こういった指数に連動する様に作られている投資信託やETF(上場投資信託)に投資をする事で、株式市場の平均点を取る運用をする事を言います。
インデックス投資は、多くの企業が集合したものになるため分散投資をする事ができます。そして、各市場の代表的な企業を集めたものになるため、安定感もあります。
インデックス投資のメリットとデメリット
株式市場の代表的な指数に投資する事になるインデックス投資です。多くの投資家が投資しているインデックス投資は投資を始めるには扱いやすい投資先となります。
インデックス投資にはどんなメリットとデメリットがあるのか見ていきたいと思います。
インデックス投資のメリット
- 分散投資が出来る
- 平均的なリターンを確保できる
- 管理が楽で分かりやすい
- コストが低い
(1)分散投資が出来る
インデックス投資を購入するだけで、自動的に分散された投資をする事ができます。
インデックス投資は、指数に連動した投資信託などを購入するので、例えば「日経平均株価」に連動する投資信託を購入した場合は、その投資信託を購入すれば225社に投資する事になります。
普通に225社の株式を全部購入しようと思うと多額の資金が必要となりますが、日経平均株価に連動する投資信託であれば225社を含めた状態でパッケージ商品として購入する事ができるので、少ない金額でも多くの企業に分散投資をする事ができます。
(2)平均的なリターンを確保できる
インデックス投資は、代表的な指数に投資をする事になるので、必然的にその市場の値動きそのものを購入するのと同じ事になります。
個別株を購入した場合は、それぞれの企業の業績によって株価の値動きが左右されるので、投資する企業への目利きが必要となりますが、インデックス投資であれば自動的に代表的な企業をたくさん集めた状態で投資をするので安定したパフォーマンスを手にれる事ができます。
(3)管理が楽で分かりやすい
インデックス投資は、指数に連動する様に作られている投資信託などに投資をする手法となります。投資信託は運用会社が銘柄を組み入れながら運用するので、私達が運用管理をする必要がなく、指数に組み込まれている銘柄が入れ替えになった場合などでも自動的に投資信託の中身を組み替えてくれます。
指数と同じ動きをするので、たくさんの銘柄の株価の動きなどを確認する必要もなく、多くの企業が組み込まれているので個々の決算内容を詳しく確認する必要もなく、投資する市場(日本市場や米国市場など)が成長するのであれば自然と上昇する事から頻繁に売買などをする必要もないです。
一番手軽で、一番分かりやすく、平均的なリターンを確保する事ができる安定した投資方法となります。
(4)コストが低い
インデックス投資は、指数に連動する様に作られている投資信託などに投資をする事になります。投資信託なので、運用管理費などの信託報酬が毎年必要となります。
指数に連動する様に作られている投資信託は、インデックスファンド(パッシブファンド)と呼ばれているのですが、インデックスファンドの信託報酬(手数料)は比較的安くなっています。インデックスファンドは、指数と同じように作ればいいので指数の真似をすればいい事から、ファンドマネージャー(運用者)も難しい事を考える必要もなく、銘柄の入れ替えも指数と同じようにすればいいだけなので手間が掛からない事から信託報酬(手数料)も安くなっています。
一方で、アクティブファンドは信託報酬が高いです。
アクティブファンドは、ファンドマネージャーが独自のテーマ(IT企業に特化していたり、ブランド力が強い企業を集めていたり、様々な特色がある)を決めて、オリジナリティ溢れる運用をしており、インデックスファンドが市場平均を取るような運用をしているのに対して、アクティブファンドはインデックスファンドを超えるパフォーマンスを狙う事を目標の1つとしています。
アクティブファンドはパフォーマンスを上げる為に、様々な情報を網羅して、様々な企業を分析して、あらゆる企業の組み合わせを検討して投資信託を作り上げていくので、その分だけコストが必要となり、信託報酬はインデックスファンドよりも高くなります。
インデックスファンドの場合は、手間も掛からないため信託報酬も安いため、コストは低くなります。
信託報酬は毎年必要となる手数料なので、この部分が低ければ低い程、運用に対する負担は軽くなります。
インデックス投資のデメリット
有能で万能な投資先にみえるインデックス投資ですが、もちろんインデックス投資にもデメリットが存在します。
ここではインデックス投資におけるデメリットを見ていきましょう。
- 一定のコストが必要となる
- 平均的なリターン以上を望めない
- 自分で投資先企業を選ぶことが出来ない
(1)一定のコストが必要となる
個別株(トヨタとかソニーとか個々の企業を買う事)の場合は、株を購入して保有している事に対して手数料などは掛かりませんが、インデックス投資の場合は投資信託などを購入して保有する事になるので、投資信託の場合は毎年信託報酬という管理手数料が必要となります。
投資信託の中でもインデックスファンドは比較的手数料が低いのですが、それでも個別株の場合は全く掛からない手数料が毎年必要となるので、インデックス投資は個別株投資に比べると毎年一定のコストが必要となります。
(2)平均的なリターン以上を望めない
「日経平均株価」や「NYダウ」などの指数と連動する投資信託を購入するインデックス投資は、それぞれの市場と同じパフォーマンスを上げる事は出来ますが、それ以上のパフォーマンスにはならないです。
あくまでも平均を確保する事は出来ますが、市場平均以上のリターンを得ることは出来ません。
個別株に投資する場合は高いパフォーマンスを得る事ができる可能性があるのですが、資産を大きく増やしたい場合にはインデックス投資は向いていません。
(3)自分で投資先企業を選ぶことが出来ない
株式投資をする楽しみの一つに自分の好きな企業や応援したい企業に投資をするという事があります。自分の好きな車メーカーの株を買って株主になったり、普段自分が愛用しているブランドを保有している企業を株を買ったりと、自分の判断で自分の好きな企業や成長すると思える企業に投資をする事は株式投資の醍醐味の1つでもあります。
インデックス投資は手軽に分散投資が出来る反面、銘柄選択などは自動的に行われていくので自分の考えや思いが入りこめる余地はないです。
自分の思い通りに投資を行いたいと思う人にとってはインデックス投資は合わない事になります。
インデックス投資のメリット・デメリットのまとめ
何事にもメリットとデメリットが存在する様に、インデックス投資にもメリットとデメリットが存在します。
インデックス投資には、分散投資が出来て手軽に管理が出来るという大きなメリットがある反面、信託報酬というコストが掛かり自分で銘柄選択が出来ないなどの自由度がない投資方法となります。
それでもインデックス投資が人気なのは、安定して平均的なリターンを確保する事ができるというところが大きいと思います。
個別株投資のメリットとデメリット
個別株に投資をしている人も多いと思います。投資信託などの予め決められたパッケージ商品のようなものを買うインデックス投資とは違って、日本株であればトヨタやソニー、米国株であればアマゾンやマイクロソフトやグーグルなどの自分の好きな企業を買う事ができます。
自分の応援する企業を買うのは楽しそう
自分で判断して購入した企業が成長すると嬉しいよ
個別株投資のメリットとデメリットをみていきましょう。
個別株投資のメリット
- 自分の好きな企業を応援できる
- 高いリターンを期待できる
- 配当や優待などの楽しみがある
- 多様な投資スタイルが出来る
(1)自分の好きな企業を応援できる
個別株投資の醍醐味とも言えるのが、自分の好きな企業や応援したい企業の株を購入して、その企業の成長を共に見守る事ができるというのがあります。「この企業が好き」とか「この商品が大好き」とか「このブランドをいつも身に付けている」などがあれば、その企業を買う事で間接的にその企業を支える事ができます。
そして、その応援している企業の株価が上昇すれば自分の資産も増えていくという一石二鳥にもなります。
私の場合は、アマゾンという企業が好きで、その成長性に期待してアマゾンの株を購入しています。なので、アマゾンの業績が向上していき、アマゾンが成長すればするほど私の資産も増えていくので、アマゾンには期待をしています。
例えば、iPhoneを愛用して使っているのであればiPhoneを製造・販売しているアップルという企業を購入して応援するのも楽しいと思います。
自分の好きな企業に投資をしていると、ニュースなどでその企業の情報(買収や新規事業の開始など)が発表されると嬉しくなったりとニュースを見る目も少しずつ変わっていきます。
自分が購入した企業が、自分の想定通りに上昇してくれると、株式投資がますます楽しくなりますよ。
(2)高いリターンを期待できる
インデックス投資の場合は、指数に投資することで市場平均を取る事は出来ますが、あくまでも平均を取る事しか出来ません。
個別株投資の場合は、インデックス投資を上回る高いリターンを手に入れる事も可能です。
私も、中国株のテンセントというIT企業に投資をしていたのですが、購入した時よりも非常に大きく成長して買値から30倍になりました。私の資産の大幅な増加に非常に貢献してくれた銘柄です。
このように、個別株に投資するとインデックス投資では得られない高いリターンを獲得する事も可能となります。
(3)配当や優待などの楽しみがある
個別株を投資している理由として、配当や優待があるという事をあげる投資家も多いです。
株を保有していると、そのお礼として企業から配当金(貯金の利子みたいな感じです)や株主優待が貰えます。
配当や株主優待は、どの企業でも行っているという訳ではなく、配当をしている企業や株主優待をしている企業としていない企業があります。
成長性を重視している企業は配当や優待などをしていません。例えば、私が購入しているアマゾンなどは配当などは一切支給せずにその資金をすべて設備投資や研究開発費に回して企業が成長する事に全てを費やしています。こういった企業は配当金などではなく株価の成長性で株主に報いる方向性になっています。
一方で、電力会社や運輸企業(電鉄企業など)とかのインフラ系の企業は、大きく成長はしないけれども安定した業績をあげる事が特徴です。こういった企業では、株主に配当金や株主優待を行っている企業が多い傾向にあります。
特に、株主優待という制度は日本独自の制度で海外の企業ではほとんどみられないです。
株主優待とは、一定の期間(例えば1年とか)や一定の期日(権利確定日に保有していれば権利を貰える)に株を保有している人に、自社商品や金券・各種割引券、カタログギフトやクオカードなどが貰えたりします。
例えば、日本マクドナルドの株を持っていれば、年に2回マクドナルド商品の引き換え券がもらえて、株価の約0.7%ぐらいの配当金も貰えます。オリエンタルランド(日本のディズニーランドを経営をしている)の株を持っていれば、ディズニーランドやディズニーシーの1日パスポートがもらえて、株価の約0.1%の配当金も貰えます。
(4)多様な投資スタイルが出来る
個別株投資は、自分の性格などを考慮しながら様々な手法を試す事ができます。
スイングトレード(短期売買)、長期投資、バリュー投資(安定した企業への投資)、グロース投資(成長企業への投資)などなど、投資方法には色々なやり方があります。どれがいいのかは各自の性格や資金量、経験によって左右されます。人には、性格や個性が様々あるように、投資にもその人の個性や正確によって合う合わないがあるので、自分にはどんな方法が合うのかを試しながら自分にとってベストな投資を選ぶことが出来ます。
個別株投資のデメリット
個別株投資には様々なメリットがあり、投資の醍醐味を一番味わう事ができる投資なのですが、もちろんデメリットもあります。
ここでは個別株投資のデメリットを確認していきましょう。
- 大きな損失を出す可能性がある
- ある程度の知識や経験が必要
- ポートフォリオ管理の手間がかかる
- インデックス投資よりもパフォーマンスが悪い事がある
(1)大きな損失を出す可能性がある
個別株投資は、選んだ企業によっては非常に大きな損失を出す場合があります。時には倒産するような事があり、その場合は倒産した企業の株式は紙くずになります。
日本でも、倒産しないだろうと思われていた巨大企業が倒産した事があります。山一証券(当時の日本の3大証券会社の1つ)やJAL(日本最大の航空会社)などは、倒産しないだろうと思われていた業界トップクラスの企業で日本でも有数の巨大企業でしたがあっけなく倒産をして株式は紙くずになりました。
私の場合は、幸運な事に倒産した企業に投資をしていませんでしたが、保有していた企業の株価が暴落して90%以上もさがってしまった事もあります。
個別株投資は、大きなリターンを叩き出す事もありますが、逆に大きな損失を出す事もあり、非常にボラティリティ(変動幅)が大きくなります。
(2)ある程度の知識や経験が必要
インデックス投資の場合は、色々な企業がまとめられているパッケージ商品のような投資信託を購入したらいいだけであり、プロがどの企業を組み込むのかを選択してくれるのですが、個別株の場合は自分で銘柄を選択して購入しないといけません。
特に慣れていない内は、SNSなどで人気のある銘柄や流行っている銘柄に投資をしてしまって高値掴みをしてしまう事もあります。
また各企業の業績を確認したり・決算を読み込んだり・企業分析を行ったりと、自分で企業の事業内容や見通しの確認や予測をする必要がある事から、投資についての知識を蓄えておく必要があります。
(3)ポートフォリオ管理の手間が掛かる
インデックス投資はプロが運用管理を行ってくれるため、投資信託を保有しておくだけで特に何もする必要がないのですが、個別株の場合はそれらを自分で行う必要があります。
それぞれの企業の決算発表時には最新の業績と今後のガイダンス(見通し)を確認する必要がありますし、その時々の状況に応じて銘柄を入れ替えたりする作業を自分で行わなければなりません。
個別株投資は自分なりのポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)を作れるという事は、投資先の調査や確認・組み合わせを全て自分で行わなければならないという事なので、インデックス投資と比べると管理に手間が掛かります。
(4)インデックス投資よりもパフォーマンスが悪い時がある
インデックス投資は平均的なパフォーマンスを確保できるのですが、個別株投資はパフォーマンスにバラツキがあり、個々の投資レベルによっても変わってくるし、銘柄選択によっても大きく異なっていきます。
インデックス投資のパフォーマンスを大きく上回る事もある反面、大きく下回る事もあり、安定感はありません。
また一般的にはインデックス投資のパフォーマンスを上回る成績を上げている投資家は少ないとも言われています。
個別株投資のメリット・デメリットのまとめ
個別株投資は、インデックス投資と違って自分で自由に投資先を選ぶことが出来ます。その反面、自分で全てをやらないといけない事になっていきます。
パフォーマンスに関しては、自分で責任をもって決断するという事で、上手く行く時と失敗する時の差が非常に大きく出てきます。
個別に投資をする事でその企業を応援したり、株主優待が貰えたりと、直接自分で企業に投資をする事によって投資の醍醐味をダイレクトに味わう事ができます。
個別株投資の楽しさを知ると、個別株投資が一番良いと感じる投資家が多いのは、投資というものを一番実感できるからなのだと思います。
インデックス投資と個別株投資のどちらがいいのか
インデックス投資と個別株投資のどちらがいいのかは、投資する人の運用に対する考え方によって異なってくると思います。
インデックス投資と個別株投資に向いている人をあげていくと次のようになると思います。
「インデックス投資に向いている人」
- 初心者(投資が初めて・投資経験1年未満)
- 安定した運用がしたい
- 手間を掛けずに投資をしたい
- 多少のコストが掛かってもいい
「個別株投資に向いている人」
- 初級者以上(投資経験1~2年以上)
- 投資を勉強していきたい
- 大きなリターンも目指したい
- コストを抑えて投資をしたい
- 配当や株主優待を楽しみたい
インデックス投資も個別株投資も、それぞれにメリットとデメリットがあります。どちらがより優れているというよりは、自分が「何を目標としているのか」や「どういった投資をしたいのか」などによって、どちらの投資方法を選ぶのかが分かれてくるのだと思います。
また、自分のリスク許容度に応じて、ポートフォリオの60%はインデックス投資で残りの40%は個別株投資にするなどの臨機応変な組み合わせ方も良いと思います。
コメント