どこの証券会社に口座を開設するのかを決めて、いざ証券会社に口座を開設しようと思った際に、一番最初に悩むのが、「特定口座と一般口座と2つ口座の種類があるけど、どっちの口座を開設すればいいのだろうか?」ということだと思います。
銀行口座であれば、個人で口座を開設すると通常は自動的に普通口座を開設する事になるのだけど、証券会社の場合は自分で特定口座か一般口座のどちらで口座を開設するのかを選べるので自分で決めないといけません。
特定口座も一般口座も聞いた事がないわ
普通はそうだよね。なので、順番に説明していくね
今回は、証券会社で口座を開設した際に、「特定口座がいいのか?」、「一般口座がいいのか?」、そしてそれぞれの口座の特徴や違いを説明していこうと思います。
最初に結論を述べておきますと、基本的には特定口座を開設して「源泉徴収あり」を選択してもらう方がいいと思います。
これだけでは、何を言っているのか分からない人も多いと思いますので、順番にご説明をしていきたいと思います。
ちなみに、もう一つNISA口座というものもあります。取引が非課税になる口座なのですが、これはまた別の機会にご説明したいと思います。
特定口座と一般口座の大きな違いは
証券会社には、特定口座と一般口座があるのですが、この2つの口座の違いを簡単に説明すると、「確定申告」が不要なのか必要なのかの違いです。
大雑把に説明すると、特定口座は確定申告が不要、一般口座は確定申告が必要となります。
ただし、特定口座には、「源泉徴収あり」の口座と「源泉徴収なし」の2つの口座に更に別れるので、源泉徴収があるかないかで対応が異なります。
- 特定口座源泉徴収あり → 確定申告不要(年間取引報告書を作成してくれる)
- 特定口座源泉徴収なし → 確定申告必要(年間取引報告書を作成してくれる)
- 一般口座 → 確定申告必要(年間取引報告書は作成しない)
ちなみに、特定口座の源泉徴収ありでは基本的には確定申告は不要なのですが、損失が出てしまって次年度以降に損失を繰り越す手続きをする時などは、確定申告が不要である源泉徴収ありの特定口座でも確定申告をした方がお得になる時もありますよ。
なんだか色々あると選ぶのに悩むな
基本的には、特定口座で源泉徴収ありを選んでくださいね
一番最初の説明で、基本的には特定口座で「源泉徴収あり」を選んだ方がいいと話したのは、証券会社の方で税務手続きをやってくれるので原則確定申告が不要となり、手間が掛からないからです。
では、少し詳しくそれぞれの口座の説明をしていきたいと思います。
特定口座(源泉徴収あり)
基本的には、この口座を選んでもらった方がいいと思います。「特定口座で源泉徴収あり」の口座にしておけば、面倒な税務計算は証券会社の方でやってくれるので確定申告などをする必要もなく、不要な時間を取られる事がないです。
株式などの取引では、利益に対して税金を支払う義務があります。
利益に対して20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合算)が税金となるのですが、年間の儲かった取引と損をした取引を差し引きして、最終的に利益が出れば税金を納める必要があります。
これを個人で1年間を通して1つ1つ株式取引をする度に記録して、そこから利益と損失の差し引きを計算しておくのは大変ですよね。でも、その手続きを全て証券会社がおこなってくれる口座が特定口座です。
特定口座を開設していると、証券会社が年間の取引を合算して年間取引報告書を作成してくれます。そして、源泉徴収ありを選択していると、税金そのものを口座から直接差し引いて支払ってくれます。
皆さんが普段会社から貰っているお給料も同じ感じですよね。会社が税金を計算して給料から勝手に払ってくれますよね。あれが源泉徴収ですよね。同じことを証券会社がやってくれて税金を納めておいてくれるのです。
とても便利なのですが、1つだけデメリットがあります。
払わなくてもいい税金も支払ってしまうという点です。
会社勤めなどのサラリーマンで、年収が2000万円以下のサラリーマンは、投資や副業などで得た利益(雑所得)が20万円以下であれば確定申告が不要です。なので、普通の収入(2000万円以下)のサラリーマンが株で得た利益が20万円以下だったら税金(所得税)を払わなくてもいいんです。
しかしながら、源泉徴収ありを選んでいれば問答無用で税金を徴収されてしまいます。本来であれば税金(所得税)を払う必要がない20万円以下の利益であっても自動的に源泉徴収されて税金を支払う事になります。
特定口座(源泉徴収なし)
特定口座には源泉徴収ありと源泉徴収なしの口座を選択できます。普通は、源泉徴収ありを選択してもらった方がいいと思います。
では、源泉徴収なしの特定口座を選択するとどうなるのか?
特定口座なので、1年間を通して1つ1つ株式取引をする度に記録して、そこから利益と損失の差し引きを計算しておく事は、証券会社の方で自動的に行ってくれます。
その計算した書類が年間取引報告書で、それを作成して送付してくれます。
ただし、源泉徴収なしなので、税金の支払いはおこなってくれません。自分で確定申告をして税金を納めないといけません。
源泉徴収なしの口座のメリットは、自分で確定申告をするので、源泉徴収ありのデメリットであった支払う必要のない税金を引き落とされる心配がないという点です。
投資や副業などで得た利益(雑所得)が20万円以下であれば確定申告が不要なので、所得税を支払う必要がないのですが源泉徴収ありだと自動的に勝手に金額に合わせた税金を納めてしまいますが、源泉徴収なしにしておくと自分で確定申告をするので、税金を支払う必要がなければ確定申告をしないという選択肢を自分で選ぶことが出来ます。
ただし、所得税は支払う必要がありませんが、住民税は支払わないといけないので、住民税の支払い手続きは忘れずに行わないといけませんよ。
特定口座の源泉徴収ありとなしのメリット・デメリット
特定口座における源泉徴収ありの場合と、源泉徴収なしの場合について説明してきましたが、もう少し簡単に分かりやすいように、メリットとデメリットの表をつくってみました。
源泉徴収ありのメリットは、なんといっても確定申告が不要になるという事だと思います。働いているサラリーマンにとっては貴重な休みの日に確定申告の作成と格闘しないといけないのは時間の無駄ですよね。それを証券会社が丸ごとやってくるので非常に便利です。
ただし、源泉徴収ありの場合でも確定申告をした方がいい場合もあります。源泉徴収ありの口座にしたからといって確定申告が出来ないという訳ではなく、確定申告をしなくても証券会社が自動的にやってくれるのですが、必要に応じて自分でおこなっても大丈夫です。
確定申告をした方がいいケースとしては、損失が出た時にそれを次年度以降に繰り越して利益と相殺(損益通算)したい場合は、確定申告をして損失の繰り越しをする事が出来ます。
また、複数の証券会社に口座を開設していて、それぞれ証券会社の取引を合計で損益通算したい場合なども確定申告をする事で行う事が出来ます。
確定申告をする場合の注意点としては、確定申告をした場合の利益については所得としてみなされるため、扶養控除や配偶者控除の所得制限を超えてしまう事があることや、国民健康保険の保険料が引きあがってしまう事もあります。
そのため、確定申告をする場合は、他の所得や控除の所得制限、国民健康保険の場合は保険料の引き上げに注意をしながら申告する必要があります。
特定口座で源泉徴収ありを選んでおいた方がいいのは、こういった心配をすることなく、証券会社の方で自動的に税務処理を行ってくれて、その際には分離課税の為、控除の所得制限や国民健康保険料の保険料算定計算に含まれる必要がないので、基本的には源泉徴収ありを選んでおくほうが無難です。
一般口座
特定口座とは違って、証券会社が年間取引報告書(1年間の売買を計算した書類)を作成してくれないので、自分で1年間の売買の記録を辿りながら、計算をして確定申告をしないといけません。
つまりは、証券会社が確定申告の手伝いをしてくれない口座という事になります。
これ、基本的にはあまりメリットがありません。
特定口座では購入できない未公開株などを主体的に取引したいなどという特殊な場合を除いて、一般口座をメインに据える事はないと思います。
まとめ
それぞれにメリット、デメリットがありますので、自分の取引スタイルや家族構成などを考慮しながら、各個人の状況に応じて自分にあう方法を選択されたらいいと思います。
投資を始めたばかりの頃であれば、特定口座で源泉徴収ありを選んでおけば、自動的に証券会社が確定申告などの税務処理を行ってくれるので便利だと思います。
特に希望がなければ、特定口座で源泉徴収ありを選んでおいてください。
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